精進料理もヴィーガン料理も『肉食をせずに野菜や豆のみを食す』という事は同じです。しかし、この２つは『目指す方向性』がまったく異なります。

そもそも精進料理とは『修行者が食べる料理』の事であり、野菜料理そのものを精進料理とは呼びません。修行の一環として食す事で、初めて精進料理と言えます。なにより、精進料理が肉食を禁じるのは不殺生を戒律とする故であり、動物の搾取及び虐待を忌避とするヴィーガンとは似て非なるものなのです。

また、実は精進料理に肉をまったく使わないのかと言えばそうではありません。仏教では『殺生された瞬間を見ていない、聞いていない』『自分のために殺生された訳ではない』という条件下のみ、肉や魚を使用した料理を食して良いとされています。この点は、どんな理由であっても動物が殺される事を許さないヴィーガンとは決定的に異なる点です。

まとめると、精進料理は『結果的に肉や魚を使わない、修行者のための料理』であるのに対して、ヴィーガン料理は『如何なる理由であっても動物を殺してはならないという主張のもと、菜食に拘った料理』という違いがあります。

因みに、精進料理ではネギ類も使用してはならないという決まりがあり、これはネギ類は煩悩（特に性欲）を増進させるからだと言われています。