古くから行われる高野山での行事

盂蘭盆会(うらぼんえ)

高野山歴代前官御房霊名が書かれましたお軸を掛け、報恩追福を祈ります。

盂蘭盆とは梵語で、これを訳すと「逆さ吊りになっているのを救う」という意味になるそうです。中国で成立した盂蘭盆経がその典拠になっており、お釈迦さまの弟子である目連(もくれん)が、その心眼でご自分の母が死後に餓鬼道に落ちて痩せ衰えているのを見透し、何とか助けたいとお釈迦様に助けを乞い、「衆僧に供養してその功徳の力でお母様を助けなさい」とのお言葉でやっと助けることができたという孝行説話に由来します。日本ではこれに祖霊祭が融合し、先祖の霊を慰める行事となりました。おまつりの仕方は地方にて様々な形態がございますが、高野山でも独特のおまつり方を致します。

金剛峯寺では8月10日に「仏迎え」をし、11日に「盂蘭盆会」を執行します。諸聖霊をお迎えするにあたって、様々な飾り付けをします。大広間中央に三段の机が置かれ、位牌等が飾られます。また、水盆に入れられた経木塔婆(きょうぎとうば)がありますが、これには歴代座主(つまり歴代金剛峯寺住職)の霊名が書かれています。左の写真を見ますと金剛峯寺の場合は霊名軸がおまつりされていますが、高野山の塔頭寺院では多く先師の「肖像画」が掛けられます。たくさんこの肖像画(軸)がありますお寺は、それを掛けるだけでも大変です。お供え物はたくさんありますが、必ず「そうめん」を差し上げるのが習わしとなっています。またお膳も用意し、その内容は生ける方に差し上げるのと何ら変わりはありません。

仏迎えに出かけ、奥之院にてお迎え用の「消えずの火」を頂戴すると、消さないように注意してお寺に持って帰り、まず「切子燈籠(きりことうろう)」へ火を移します。次いで、油燈籠(あぶらとうろう)に火を移し、お盆が終わるまで灯されます。その後、一座の法会(読経)がなされます。